Cubase10.5 で何が変わった?新機能中心にレビュー
Cubase恒例の.5アップデートですが、今回は操作性改善が中心のようです。
・EQ / スペクトラルカーブ比較
・選択ツールの統合
・プロジェクトからトラック読み込み
・MIDI プリレコード
・ビデオレンダリング
・MultiTap Delay
・Padshop 2
・MixConsole チャンネルカラー
・スコアエディター
・セーフスタート
・LUFS ノーマライズ
などなど・・・
早速アプデして使ってみたところ、ユーザー視点での改善が多くされている印象でした。
ここでは僕が良いなと思ったところを中心に、レビューしていきます。
目次
Cubase10.5 レビュー動画
動画でも解説しております。
EQのスペクトラル比較モードで帯域整理を効率的に
各トラックのチャンネル設定内のEQ(プラグインではない)で、スペクトラルが比較できるようになりました。
キックとベースの低域のマスキングを探したりといった使い方ができます。
Fabfilter のPro-Q3などではお馴染みの機能ですが、DAW標準で搭載されると嬉しい機能ですね。
ただ、一度チャンネル設定の画面を閉じると比較対象の設定がリセットされてしまうので、
毎回設定しないといけないのは面倒・・・
ここは早急に改善希望ですね。
MixConsoleに色付け可能
MixConsoleチャンネルの背景をで色付けできるようになりました。
環境設定から、「トラックおよび MixConsole チャンネルのカラー」で有効にする場所や明るさなど設定できます。
見た目がStudioOneに近くなるのは気のせいか・・・
僕の場合普段から色分けをほとんど使ってなかったですが、いざ使ってみると結構便利かも。
プリフェーダーとポストフェーダーの色がはっきり変わったのも地味に分かりやすい。
MIDIプリレコードで録り忘れを防止
これは今回のアプデで一番便利と思った機能です。
作曲中にフレーズを考えてるときに、ふと、良いフレーズを弾けたけど
次の瞬間忘れてる・・・ってことないですか?
僕はめちゃくちゃあるんですが、それを記憶してくれていて
呼び出せるっていう素晴らしい機能です。
上画像は画面左側にあるインスペクターですが、「Retrospective Recording」をクリックすると、
記憶されてるデータをインサートするか選べます。
コード進行やボイシング考えてる時に一瞬浮かんだアイディアを
取りこぼさなくなるので、これで作曲がぐっと効率的になると思います。
別プロジェクトのトラック設定を読み込み可能に
これもかなり便利だと思った機能です。
例えばミックスで1曲目で使ったトラック設定をそのまま2曲目以降に適用させたいとき、
今までだと1曲目のプロジェクトを「プロジェクトのテンプレート」として保存しておいて、
2曲目作成時にそのテンプレートを読み込んで使うって流れでしたが、
ルーティングとかはやり直さないといけなかったんで面倒でした。
でもこれを使うと、ルーティングも含め読み込んでくれるんで、
1曲目のトラック設定をそのまま使いまわすことができます。
更に読込先(出力先)を任意に選べたりトラック名が同じものに自動割り当てができたりと、自由度も高いです。
こういう機能がほしかったんだよな〜
ビデオ書き出しで歌ってみたのエンコードを簡単に
これはつまり、「歌ってみたMIX師がエンコードもできるようになる」ということですね。
ビデオ書き出しができるようになったことで、
歌ってみたMIXのように元動画が完成されてるものに音を差し替えるとき、
Cubaseのみで完結させることができます。
ただ、エンコード設定は固定なのであくまで簡易的なものですね。
Audioのビットレートが192kb/sなのが気になるところですが、
エンコード知識がなくてもビデオ書き出しができるようになったのはかなりの進歩ではないでしょうか。
ノーマライズをラウドネス値で設定可能
ノーマライズにラウドネス値を選択できるようになったので、
コンピアルバムのマスタリングとかで沢山ある2mixを一定のラウドネスに揃えたいときとかに便利ですね。
Padshop2はプリセットが強い
VSTインストゥルメントではPadshopが改善されています。
これまで搭載されていた Padshop と、アルペジエイターなどついた機能向上版のPadshop Pro(別売)が統合されました。
更に新しい機能と新しいプリセットが増えているとのこと。
かなりできることが増えているので、Padshop使ってなかった僕にはなんのことやらですが、ちょっと触るとなんとなく機能は把握できます。
プリセットも良い音が揃ってますし、アルペジエータで遊ぶのも楽しいです。
元々有料のPadshop Proを統合してるだけあって、その他有料シンセにも負けない品質になってます。
MultiTap Delayは有料プラグインに引けを取らない
プラグインエフェクトではMultiTap Delayが追加。
これまでのCubase標準ディレイって、どれも音が味気なくて音作りもほとんどできなかったんですが、
MultiTap Delayではその辺りが大幅に改善されています。
タップディレイというだけあってタップ機能でリズミックなディレイを作れたりもするんですが、
ポストエフェクトで様々なエフェクトを足せるんで、音作りは無限大です。
ただ、プリセットがどれもモジュレーションが強いので曲中には使いにくい感じでした。
音は良いので、使いこなすことができれば主力でも使えるクオリティだと思います。
今回のアプデはおすすめか?
個々のアプデ内容は便利になったものが多いのでおすすめできるんですが、
Cubaseアプデあるあるで、新バージョンが出てすぐは動作が安定しないことが多いです。
僕の環境(Mac)でも発生していて、過去バージョンで作成したプロジェクトが開かなかったり、
再生途中で反応が遅くなったりと、まだちょっとガリガリ使う分には心許ない感じなので、
バグフィックス版が出るまで待ってもいいかもしれません。
とはいえ、Cubase10とも共存できるので、不安定事象が発生したら10に切り替えて使うのも全然ありですね。