タラチオさん「Vulture EP」収録 Vermillion ボーカルミックス解説
Keinoazaです。どうもでございます。
今回はですね、タラチオさんの「Vulture EP」収録されている僕が提供した
Vermillionという曲のボーカルミックスを解説したいと思います。
この「Vulture EP」は4曲入りですが、他の曲がヤバすぎるので聴いたことない方は是非聴いてみてください。
Vermillionのフル視聴ができるサイトはこちら
コンポーザー陣のメンツがやばい上に曲がヤバい。音もヤバい。とにかくやばい。
下手な形容詞は不要、聴いたらわかるこのやばさ。
そんなヤバみたっぷりなこの作品ですが、Vermillionのみ僕がミックスも担当させていただいております。
※マスタリングはつこさん(tuko1573.com)です。個性だらけの楽曲達を一つの魂にまとめ上げていただいています。
今回はそのボーカルミックスの一部のセッティング公開と、それぞれの意図を簡単に解説して
普段僕がどんなミックスをしているか、気になる人も気にならない人も何かの参考になればなぁと。
まず、この曲のミックスコンセプトは「生」でした。ナマ。
バンド感、ライブ感を重視してできる限り余計なものは省く。
オケはソリッドかつタイトに。ボーカルもそれに合わせてタイトに。
でもタラチオさんが持ってる妖艶さ、色っぽさは出したい。
この辺を目指してミキシングを進めました。
ボーカルミックスのセッティングですが、ボーカルトラック全体はもっと多いんですが
メインボーカルのクリーン部分のセッティング全体図がこんな感じになってます。
※画像クリックでセッティング詳細がみれます。
右の二つが実際ボーカルの波形が置いてあるトラックで、左の「Vo_Main」というバストラックにまとめています。
同じ処理をしたいトラックはバストラックにまとめて処理すると効率的ってことですね。
ここからは使用したプラグインのセッティングと用途をざざっと解説します。
ざざっとですが結構多いです・・・
まず各トラックの処理から。
1.Waves SSL E-channel
つまみは何も動かしてません。挿しただけです。ただANALOGスイッチをONにしてまして、これでノイズが増えます。
ミックスの隠し味はノイズってことがよくあります。
2.Waves R-Comp
軽くコンプ。出っ張ったアタック音を抑える用途です。
ここからバストラックの処理です。
3.waves JJP Vocals
泣くDTMerもだまるJJPシリーズ。特にこのVocalsは簡単に音が前にでてきらびやかで太くなるので簡易ミックスにはすごく役に立ちます。
ここではあっさり塩味程度にかけています。
4.Sonnox Inflator
これのEFFECTを上げると音がいい感じに荒くなります。これもあっさりでゲインアップは1dbほどです。
今回の方向性の生っぽさを出すために、コンプをがっつりかけることはせずに、複数のプラグインでちょっとずつ歪みを足したりして
ボーカルが埋もれないような処理にしてます。
5.Waves R-EQ
用途は中域のもわっとしたところを削ってます。R-EQは使いやすくメインEQでしたが、GUIがちっちゃいし
最近fabfilterのPro-Q3を買ったんでお役御免になりそうです。
ローカットは処理の最初にするのが定石ですが、このトラックは録り音が綺麗なんでローカットする必要もないかなと
思ってたんですが、処理を重ねると低域も少しでてきたんで、聴感上ほとんどわからないけど出ちゃってる無駄なところをカット。
ローカット前後の違いもついでに貼っておきます。右がローカット後です。
6.Waves R-Axx
これもInflatorと同じようなゲインアップの使い方です。
結構ゲインアップした状況でこの極端に荒いコンプを使ってるので超あっさり設定です。
7.Waves C6
マルチバンドコンプですが限定的な帯域に使ってて、90~100Hzと6kHz以上を軽く押さえてます。
オケにより馴染むように調整した結果で、設定キメ打ちじゃなくてEQとか色々ぐりぐり弄ってこうなったって感じです。
8.Sonnox Supresser
ディエッサーですね。特に何も考えずいつもこの設定でボーカルによって帯域を多少前後させるぐらいです。
9.Waves Vocal Rider
いわゆる「手コンプ」と言われるコンプを使わず細かいボリューム操作で音を均等にするテクニックを
自動でやってくれるプラグインです。
普段はほとんど使わないプラグインですが、今回はコンプ少なめなんで使ってみました。
音は均一になりますが、曲の表情に合わせてくれないので結局さらにオートメーション書いたりするんで
巷で言われてるほど万能な感じでもないなという印象。
ここまでがバストラックの「インサートエフェクト」です。
お腹いっぱいでしょうか。
もう少しあります。
ここからセンドエフェクトと言われる主に空間系エフェクトの解説です。
10.Sonnox Oxford Reverb
リバーブその1はルームリバーブ設定です。プリセットそのままです。
11.Waves H-Delay
続いてディレイを混ぜます。曲のBPMとシンクさせて変に浮き出ないように。
ディレイというよりもリバーブと混ぜて一つの響きにするイメージで使ってます。
12.Waves H-Reverb + C1 Comp
リバーブその2はチェンバー系でぶわぁっと広がるものを選びつつ、コンプをサイドチェインさせてます。
サイドチェインさせると、ボーカルが歌ってる間はリバーブ音が少なくすっきり聴こえて、
歌が途切れたところでリバーブ音が前に出てきて空間を演出、というプロい効果を簡単に作れます。
これで以上ですね。
実際もっと細かいオートメーションとかもあるんですが細かすぎるんで割愛します・・・
ざっくりまとめると、生っぽさを出すため、あっさり味付けを重ね掛けしましたってところですね。
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